本川橋（広島市中区）
コンクリート船が戦後に堤防となり港と地域を護っている、という建造時には想像していなかった活躍をしている… という繋がりというわけではないのですが、本川橋を紹介します。
光海軍工廠の廃材で架けられた橋
本川橋は旧太田川（本川）に架かる橋です。平和記念公園の西側に位置しています。江戸時代頃に架橋された猫屋橋が明治時代に初代の本川橋として新しくなりました。
この本川橋は原爆により壊れ、翌月の枕崎台風で完全に橋としての機能を失いました。そんな本川橋でしたが、1949（昭和24）年に再び架橋されました。戦後の資材不足の中、橋の建材はどこから調達できたのか… 調達元は光海軍工廠でした。
光海軍工廠は終戦前日の1945（昭和20）年8月14日に大規模な空襲を受けました。旧海軍工廠職員、動員学徒など738人のほか、身元が確認された一般市民10人など多くの方々が犠牲になっています（光海軍工廠についてはこちらなどで記しています）。
この空襲により壊滅的被害を受けた光海軍工廠、その廃材が本川橋で活用されています。
これで橋が造れるのかと
光海軍工廠から運び込まれた廃材は弾痕だらけでひん曲がっており、設計・工事を担当していた方（当時20歳そこそこっ!!）はこれで橋が造れるのかと思ったそうです。町工場で廃材の弾痕をふさぎ、ひん曲がった部分はハンマーでたたきまっすぐにして橋にしました。
たしかに意味のないところに穴があったり、あるいは穴を塞いだりしていあるのがわかります。
実は"安芸の国から"で本川橋を取り上げるのは2度目のこと。13年前(汗)に一度記しました。JR海田市駅近くにある九十九橋も光海軍工廠の廃材が活用された橋です。
この本川橋、私もよく利用しています。地元の方はもちろん、平和記念公園近くということで、旅行者の方も利用することもあるんじゃないかと。光海軍工廠の空襲による廃材が平和記念公園そばの橋となっている… 小さな本川橋ですが、こんな歴史があるということを多くの方々に知ってもらえるといいなと思います。
参考にした書籍など
- 中国新聞 2018年2月11日 本川橋も廃材で再建