海上自衛隊:江田島旧海軍兵学校の見学
2009年4月29日、以前より気になっていた江田島の旧海軍兵学校(現在は海上自衛隊幹部候補生学校および第1術科学校)を観に出かけました。平日を含めて見学が可能となっています。最初に書いたようにもともと気になっていたのですが、後にも記す教育参考館が改修工事中(改修工事は平成20年9月に完了)だったため、その工事が終わるまで見学をまっていたのです。
見学は受付時間が決まっており、時間になると海上自衛隊OBの方(?)が案内してくれるというもの。見学の詳細については海上自衛隊第1術科学校のホームページで確認するといいと思います。案内をしてくれる方が海上自衛隊関係者といっても決して堅苦しいものではなく、とても楽しいものですのでご安心を。ただ、観光地というわけではありません。「見学させていただく」という気持ちを忘れないようにしたいものです。
最初は大講堂
見学がはじまって最初に見るのがこの大講堂。1917年(大正6年)に建築。イタリア建築を意識して作られたとのことですが、イタリア建築と言われてもピンとこない私だったりします(汗)。
中にも入ることができます。現在も幹部候補生や自衛隊生徒たちの入学式、卒業式などに使われているそうです。案内の方によると、真ん中の赤い絨毯のところを歩くことができるのは成績優秀な者たちだけということです。歩くことができるのは20人に1人だとか・・・
演壇中央の後ろのほうがドーム状になっているのがわかるでしょうか、ここが天皇が座るための玉座です。自衛隊の時代になってから使われることはあったのでしょうか?
幹部候補生学校庁舎
こちらが幹部候補生学校庁舎。通称「赤レンガ」と呼ばれており、江田島旧海軍兵学校の数多くある建物の中でも全国的に最も有名な建物ではないでしょうか。「赤レンガ」は1893年(明治26年)に海軍兵学校生徒館として建築されました。こちらはイギリス建築家によるものです。
幹部候補生学校庁舎は立ち入り禁止なので、廊下だけでも・・・ 廊下を見てもとてもキレイな建物だということがわかります。廊下の電灯(?)にはひとつひとつイカリが描かれています。
この幹部候補生学校庁舎で使われているレンガですが、英国から持ってこられたものという話が通説となっていますが、本当は安芸津のものではないかという話もあったりします。実際のところはわかりませんが、このレンガは表面がとてもスベスベしていてびっくり。実際に触ってみて感じたのは、英国のものであっても安芸津のものであっても、あるいは他の産地のものでもいいのではないかと。「いいものはいいんだな」ってことで。
教育参考館
こちらが教育参考館です。1936年(昭和11年)に建築されました。戦前は40,000点の資料が保存されていたそうですが、現在は16,000点の資料を保存し、うち約1,270点を展示しているそうです。ちなみにこちらは見ての通り(?)ギリシア神殿風となっています。ちなみに、左に見える白いものは手前が三景艦(松島/橋立/厳島)の主砲砲弾、奥が戦艦大和の主砲砲弾です。
館内は撮影禁止となっていますので画像はありませんが、入口から2階へ赤絨毯が敷かれている階段をのぼって最初に展示されているのが東郷平八郎元帥、山本五十六元帥の御遺髪室。そこから順路に沿っていくと海軍将校たちの書や特別攻撃隊隊員の遺書が・・・ これまでも回天記念館などで遺書は読んでいますが、やはり考えさせられるものがあります。
特殊潜航艇
教育参考館の横には特殊潜航艇の甲標的と海龍があります。
甲標的(甲型)
こちらは甲標的(甲型)。実際に真珠湾攻撃に参加した5隻のうちの1隻だそうです。甲標的といえば基地が倉橋島にありました。甲標的をみるのははじめてです。実際にみてみると想像していたよりも大きい。真珠湾攻撃ではじめて実戦に使われたわけですが、回天とは異なり、必死の兵器ではありませんでしたが実際に乗員が生還できたことは多くはありませんでした。甲標的については「戦争遺構:特殊潜航艇甲標的の基地、倉橋島」を読んでいただければと思います。
海龍(試作第3号艇)
こちらは海龍。呉の大和ミュージアムにある海龍とちょっと違うような感じがしたのですが、大和ミュージアムのものは後期量産型、こちら江田島のものは試作第3号艇だそうです。本土決戦に備えて建造された海龍ですが、実戦に使われることはありませんでした。
さいごに
見学が終わった後、海軍らしく(?)食堂でカレーを食べて帰りました。辛いという話だったのですが、そういった辛さはなくどちらかというと甘め? ただ、コクがあるというのでしょうか、味には特徴がありヘタなお店で食べるよりも美味しいカレーでした(^-^)。レトルトカレーも買って帰ったのですが、そちらも楽しみです。
私たちが見学した日(4月29日)はGWに入っていたということもあり、学生の姿は見られませんでした。そんな中、今年入られた幹部候補生の方でしょう、制服姿で身内の方と一緒に回っておられました。これから海上自衛隊の幹部候補として厳しい教育が待っていると思いますが、国家を護る要の一人になる者としてがんばって欲しいです。
このページの公開日:2009.05.05