海上自衛隊:呉造修補給所工作部エアクッション艇整備科
8月14日、実家へ帰省するときのお土産を手に入れるために江田島へ出かけることに。お土産は早々に手に入れることができたので、少し前から気になっていたエアクッション艇(LCAC)整備所(正式には呉造修補給所工作部エアクッション艇整備科)へ立ち寄ってみました。
ここは海上自衛隊唯一のLCAC整備所
このLCAC整備所がある場所は、旧海軍時代は燃料を貯蔵する場所でした。そんなこともあって以前から気になっていたのですが、先月7月末の新聞にこのLCAC整備所が取り上げられていて機会があればいってみようと。こんなに早く機会が訪れるとは(^-^)。
最初にこの場所の歴史を。上に記したように旧海軍時代は飛渡瀬燃料置場として燃料を貯蔵する場所でした。戦後は海上自衛隊の呉造修補給所貯油所飛渡瀬支所として使われていましたが、平成10年(のはず(汗))にLCACを整備する施設を建設。平成21年3月に呉造修補給所貯油所飛渡瀬支所の廃所式があります。今は最初の写真にあるように「呉造修補給所工作部エアクッション艇整備科」として使われています。そして海上自衛隊でLCACの整備ができるのは、この場所だけだそうです。
山側からの写真を。
「定格75t」と記されているものがあります。整備後の確認に使うものでしょうか。このときは「やっぱりLCACはいないかぁ、残念」と思ってたのですが、せっかくなので正門の写真を撮って帰ろうとまわったらLCAC発見(嬉)。
エアクッション艇6号機です。エアが入っていない状態だと思うのですが、ペチャっとしているこの姿はなんだかエイみたいです(^^;。トリミングしてみたのが下の写真。
...やっぱりエイみたいです(笑)。
今年5月には奄美群島で陸海空の3自衛隊合同の離島奪還訓練が行なわれましたが、そこにはLCACが参加しています。これは昨年12月に閣議決定された「防衛計画の大綱」において離島奪還を担う部隊が創設されたことに伴う訓練なのでしょう。
現在海上自衛隊ではLCACを6艇保有しています。そして平成23年度以降延命工事および部品取得の予算が認められています。それとは別に保有数を増やすという話もあり、今後もその役割に期待しているのでしょう。ビーチングできる輸送艦「ゆら」型はもう存在せず、同様にビーチングできる輸送艇「1号」型の後継の話も聞こえてきません。そういった艦・艇の役割もLCACが担っていくということなのでしょうか。
今後このLCAC整備所の役割はますます増していくことは間違いなさそうです。
旧海軍飛渡瀬燃料置場の地下タンク
前述のようにこの場所は旧海軍時代は飛渡瀬燃料置場でした。下の写真は戦後アメリカが撮ったものですが、多くのタンクがあるのがわかります。そしてタンク群の上に丸で囲んだところ、ここに100,000トン貯蔵できる地下タンク(50,000トンのタンクが2つ)がありました。
地下タンクは内部および頂版コンクリートの鉄筋が腐食し、崩落の危険性があるということで数年前にコンクリートの頂版を撤去し、土砂による埋め戻しが完了しています。下写真が地下タンクがあった場所の2014年8月現在の様子です。
地下タンクがあったなんて感じさせませんね。もっとも、あったのは地下なので、それと知らないと気付かないのが当然なのかもしれません(笑)。最後にGoogleマップを。このマップの写真が撮られたときにはちょうど地下タンク撤去工事中だったようですね。
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参考にした書籍など
- 呉・江田島・広島戦争遺跡ガイドブック / 奥本剛(光人社)
- JACAR(アジア歴史資料センター) Ref.C08010916600、呉海軍軍需部 引渡目録 3/3 (防衛省防衛研究所)
- 防衛省 中国四国防衛局広報誌 中国四国 第19号 平成24年7月発行
- 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス
このページの公開日:2014.08.19