安芸の国から

安芸の国に暮らすおじさんのお出かけ記録です

旧帝国海軍:人間魚雷回天の基地、大津島

2006年に平生の阿多田交流館へ出かけてからずっと気になっていた大津島にやっと出かけることができました。大津島は第二次世界大戦末期に特攻兵器として使われた回天の基地がありました。大津島では当時の遺構や回天記念館を見ることができます。徳山港から船に乗り大津島の馬島港へ。船を下りると、大きな看板が迎えてくれました。

大津島 馬島桟橋

回天発射訓練基地(魚雷発射試験場)

最初に回天とは

回天を知らない方のために、少し記しておきます。回天は「天を回らし、戦局を好転させる」という思いが込められていました。第二次世界大戦末期、日本がいよいよ劣勢になってきたときに2人の若い海軍軍人黒木博司大尉、仁科関夫中尉が考案したいわゆる人間魚雷です。必死の兵器であり、当初は軍令部などから見向きもされませんでしたが、2人の熱意が採用へと動かします・・・ 兵器として採用された条件に「脱出装置をつける」があったものの、現実は脱出装置のない「必死の」特攻兵器となってしまいました。

「なぜ人間魚雷なの?」ですが、回天は海軍が使っていた高性能魚雷93式酸素魚雷を改造したものだからです。誤解を恐れずにカンタンに言ってしまえば、回天は93式酸素魚雷を2つに切り、その間に人が入るエリアをつくって操縦できるようにし、再びくっつけたものといえます。

ところで、回天を考案した黒木博司大尉、仁科関夫中尉の2人ですが、黒木博司大尉は大津島基地で訓練がはじまって間もない昭和19年9月に回天訓練中に遭難し殉職、仁科関夫中尉は同年11月に菊水隊として出撃し殉職しました。

大津島 回天発射訓練基地(魚雷発射試験場)

大津島はもともと93式酸素魚雷の発射試験場がありました。回天の基地となってからは、回天の発射訓練基地となっています。

大津島 回天発射訓練基地(魚雷発射試験場)へのトンネル

発射訓練基地まで回天を運ぶにはトンネルの中をトロッコを使って運んでいたそうです。地面に残っているのはトロッコのレール跡。必死の兵器に乗るための訓練・・・ 回天の搭乗員は若者ばかりでしたが、どういった心境だったのでしょう。

回天記念館

発射訓練基地から再びトンネルを戻り、回天記念館へ向かいました。途中「回天坂」と呼ばれる坂を通り、訓練にも使われた「地獄の石段」と呼ばれた石段をみることができます。

大津島 回天記念館

回天記念館です。門から記念館建物の入口まで両側に石碑が並んでいます。この石碑の数は全部で145。そのすべてに回天による戦没者の名前と出身地が記されています。

大津島 回天記念館 遺品
大津島 回天記念館 遺書

記念館の中には回天に関する資料はもちろんのこと、隊員の遺品・遺書なども展示されています。

回天により亡くなった方々の平均年齢は21歳・・・ そんな若者たちが必死の兵器「回天」を操縦して敵に突っ込む・・・ 自分にとって大切な何か(家族であったり恋人であったり、故郷であったり・・・)を守る・守りたいという気持ちがそういうことをできるようにしたのでしょう。

「特攻なんて馬鹿げたことを」というのはカンタンです。しかし、「特攻することによって自分の大切なものを守ることができる(かもしれない)」あるいは「自分たちが大切なものを守るためには特攻するしかない」といった心をもって実行した若者たちは敬うべきと思います。また、同じ心を持っていて幸いに生き残ることができた方々も同様です。今を生きる私たちがそういった若者たちの気持ちを考え、その気持ちをずっと伝えていく必要があるのではないでしょうか。

いちおー記しておきますが、私は何も回天や特攻を肯定しているわけではありません。特攻については責められるべきものだと思います。ただ責められるべきはその搭乗員となった若者たちではなく、必死の特攻兵器なんてものを使うようになってまで戦争を続けた者たちだと思います。

そして戦争なんてものはしないに限ります。しかし、他国も同じ考えとは限りません。仮に侵略行為があった場合に日本はどうするのだろう? 自分に何ができるのだろう? なんてことを考えさせられる大津島への訪問でした。

回天に関連する書籍

私が読んだ回天に関する書籍です。

回天といえば、「出口のない海」でその存在を知った方も少なくないと思います。もし、より回天について興味を持たれたならば、上の「回天特攻学徒隊 回天は優れた兵器ではなかった」を読んでみてはどうでしょうか。回天について、また搭乗員についてより知ることができるでしょう。

このページの公開日:2008.10.14

コンテンツメモ

  • 訪問日:2008.09.27
  • 場所:山口県周南市大津島
  • 行程:山陽道 - 大津島巡航船(徳山~馬島)
  • EOS 40D + EF-S17-85 F4-5.6 IS USM

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